雑記

音楽で読む『なんとなく、クリスタル』

『なんとなく、クリスタル』はブランド小説と揶揄されたそうだが、実際は音楽タイトルのほうが遥かに多く、洋楽カタログ小説といったほうが事実に近い。 しかし、登場するファッションブランドの多くは今もなお残っているが(定着した、というべきか)、音楽…

なぜならかつては島田雅彦派だったから

映画『ノルウェイの森』の番宣でメアリー、メアリー、と陰鬱な調子の歌が流れてて、ビートルズにあんな曲あったっけ? と一瞬考え込んでしまった。あれは勿論、CANのMary, Mary So Contraryであり、てっきり『ノルウェイの森』=ビートルズ垂れ流しだと思っ…

世界が破れる磁場

同じ力関係の者同士が対立しているのであれば「中立」というのはあり得るかもしれない。しかし圧倒的に力の強い側と圧倒的に弱い側とがあったときに、中立というのは強い側に協力していることになる……”と。水俣病に限らず、また医学に限らず、さまざまな局面…

ケーゲルとクレンペラー

年末の風物詩であるベートーヴェンの第九交響曲だが、わたしはどうもあの曲の歌詞が苦手なのだった。 なんというか、むさいエリートのおっさん同士が裸で酒を飲んで、酔った弾みで調子のいいことばかりをいってるように聞こえる。 おお友よ、このような音で…

ノンセクトとしての安彦良和

http://d.hatena.ne.jp/uedaryo/20101107/1289101879 しかしフセイン独裁のイラクをどうすればよかったのか、あるいは今、金家独裁の北朝鮮をどうすればいいのか? その答えを我々は明確に持っていない。安彦良和氏も持ってなかったのだろう、だから主人公の…

11月14日の日記

——こういうことは田中康夫の小説でならもっとうまくやってのけますね、とわたしは言った—— ——あなたは田中康夫の小説を読んだことがおありでしたっけ? 相手は世にもいんぎんな、しかし、どうだ、参ったかといわぬばかりの顔付きでさっとわたしに鉾先を向け…

「原文密着主義」と「ネタバレ」

されば、緒の言は、その然云フ本の意を考へんよりは、古人の用ひたる所を、よく考へて、云々の言は、云々の意に、用いたりといふことを、よく明らめ知るを、要とすべし 小説のレビューがつまらない本当の理由 - 誰が得するんだよこの書評 小説のレヴューがつ…

「進化遺伝学的世界観」補足

tikani_nemuru_Mさんから、NATROMさんのサイトの掲示板で木村資生の優生思想について議論したことがある、とご教示頂いたので(tikani_nemuru_Mさん、ありがとうございます)、消失した掲示板の断片でも残っていないかと探してみた。http://members.jcom.hom…