連載

佐藤亜紀『メッテルニヒ氏の仕事』第五部

カールスバート決議からトロッパウ、ライバッハ、さらにヴェローナに至る一連の会議は、メッテルニヒの絶頂期であったと一般にはいわれる。この時期のメッテルニヒが会議を牛耳る様は、ヨーロッパの宰相と呼ぶに相応しい。 ウィーン会議後に現れたヨーロッパ…

佐藤亜紀『メッテルニヒ氏の仕事』第四部

いよいよウィーン会議である。 ウィーンにはパリ条約締結八箇国はもとより、無数の関係者が集まった。 人口二十五万人の都市に、九月だけで一万六千人が到着しつつある。ホーフブルクには賓客として皇帝一人、皇后一人、国王四人、女王一人、皇位継承者二人…

佐藤亜紀『メッテルニヒ氏の仕事』第三部

メッテルニヒには有名な回想録がある。 この回想録という形式はヨーロッパ文化圏ではやや特殊な位置にあり、伝記(日本でいう歴史物のビジネス書にあたるそうな)に飽き足らないビジネスパーソンが、歴史的な業績を残した当事者が語る声に触れ、人生や仕事の…