『KYOTO JAZZ MASSIVE』

KYOTO JAZZ MASSIVE
このジャケットの女性、叶恭子にそっくりではございませんか。
恭子・ジャズ・マッシヴ。
基本的にただそれだけがいいたい。
「CITY FOLKLORE」

民族楽器を押し出した複雑なリズムの上に、高揚感のある管楽器やヴォーカルがひたすらに格好のいいフレーズを奏でる。
クラブ・ミュージックに分類されると思うが、荒々しいリズムと力強いブラスにアフロ・ビート的な泥臭さを感じる。クラブ・ミュージックという言葉から連想される「オサレ」とはとてもほど遠い。
ところで、KYOTO JAZZ MASSIVEを主宰する沖野修也は、白木秀雄の『祭りの幻想』のライナーノーツで、「あなたの音楽のどこに日本らしさを感じればいいのですか?」とドイツ人の音楽ジャーナリストに問われたというエピソードを紹介している。彼はその質問に、非常に誠実に答えているが、ヨーロッパには、この手の輩がうようよいるんだろうなと思う。彼らが求めている「日本らしさ」というのは徹底的にステレオタイプであり、そのステレオタイプを演じないとお気に召さないのだ。もし、彼らが深い他者理解に根ざした(それもちょっとした謙虚さだけでいい)、注意深い目と耳を持っていれば、日本人の手になる優れた作品から、日本人でも気付けないような新たな「日本らしさ」を見いだせるだろうし、その「日本らしさ」はオリエンタリズムや、それを内面化した従来の手垢まみれの通俗的ナショナリズムとは無縁なものである筈だ。

KYOTO JAZZ MASSIVE

KYOTO JAZZ MASSIVE